コラム

メジャーリーグに日本人選手はもういらない

元高校球児の顧問先の社長に薦められて、お貸りしました。

メジャーリーグ(以下、MLB)某球団のアジア地区担当現役スカウトが、匿名で書いた本。
匿名の理由は、実名で本音を書くと、特定の選手や球団に迷惑がかかる可能性があるとのこと。

読んでみると、日本で評価されている日本人選手が必ずしも、MLBで評価されているとは限らず、
選手評価の基準やポイントに相違がみられるところが、興味深かったです。

先の世界野球WBSCプレミア12の日本代表侍ジャパンの顔ぶれに関して、
小久保監督は、この本も参考にしながら、選手選考を行ったのではないか!?
と感じてしまうほどの勢いが、この本にはあります。

MLBへ行って成功する選手の特徴は、ずばり「抜きんでた武器」を持っていること。
すべて平均点以上のプレイヤーよりも、一芸に秀でたプレイヤー。
これは、野球だけの話ではなく、一般社会にも通ずるものだと思います。

仕事に就いた当初、先輩に
「雲竜型でも不知火型でも何でも良いから、自分の「型」を持て。」
と言われたことを今でも自分の中で大切にしています。
自分はこれだ!という武器や型を持つことは業界問わず、重要なことだと言えるでしょう。

また、MLBは豪快な力と力のぶつかり合いで大雑把、日本のプロ野球(以下、NPB)は緻密な野球、
というイメージを日本人の多くは持っていますが、実際、MLBの方が、データを徹底的に数値化し、
「野球は確立のスポーツ」と捉えているという記述には説得力がありました。
アメリカは現実主義であり、無駄を嫌った徹底的な合理化主義だと改めて感じます。

バッターによって極端な守備体系をとったり(例:オルティーズシフト)、
マネーボールで広まったセイバーメトリクスの手法を多くの球団が取り入れ、
確立の精度を上げ、勝ち星に結び付ける球団経営を行っています。
選手獲得においては、「費用対効果」「リスクとリターン」の投資と捉え、
その選手獲得によるリターンの裏付けをとってから獲得に動きます。

日本は、勝新太郎の「無駄の中に宝がある。」という発想で、同じポジションに
同じような選手を何人も獲得したり、必ずしも合理主義には徹しきらない
球団経営方針が垣間見られます。
是非はともかく、経験則や精神論、情などが根底にあります。

ところで、私の周りには、元高校球児が何人かいますが、現在、私のメインバンクの担当は、
東海大学付属甲府高等学校出身で、高校時代に甲子園に出場しています。

今はかなり恰幅が良く、見た目はキャッチャーですが、高校時代は
ピッチャーとして甲子園のマウンドに立ちました。

彼の高校時代の1年後輩は、2005年に東京ヤクルトスワローズから、
ドラフト1位指名を受け入団した、村中恭平投手です。

ちなみに村中投手は、故障等で甲子園のマウンドに立ったことは1度もないそうです。
それがなぜ?東京ヤクルトスワローズに、ドラフト1位指名されたのか
というと、県大会で東海大甲府高校が、東北高校と対戦する機会がありました。

その試合で、当時、東北高校のエースだった、ダルビッシュ有投手
目当てに多くのスカウトが集まりました。

本当は、私の担当がその試合に投げる予定でしたが、それほど重要な大会でもなかったため、
東海大甲府の監督は、1学年後輩の村中投手を来年のことも考えて先発させました。

その試合で、ダルビッシュ有投手と互角に投げ合った村中投手が、
多くのスカウトの目に留まり、甲子園出場がなく、知名度もそれほど高くなかったけれど、
結果として東京ヤクルトスワローズにドラフト1位指名されたそうです。
非常にドラマチックですね。人生何が起こるかわかりません。

そういえば、東京ヤクルトスワローズがなぜ?スワローズという名前なのか知っているか?
と以前、外資生保の友人に聞かれたことがあります。

彼曰く、もともと東京ヤクルトスワローズの前身は、国鉄スワローズでした。
球団発足当時、国鉄コンドルズという名称が候補だったらしいのですが、
国鉄で「混んどるず」はマズイだろう、「座ろうず」にしよう、
と会議でスワローズに決まったとそうです。
それを引く継いだヤクルトが、東京ヤクルトスワローズとしたというものです。

私はなるほど~、と感嘆しましたが、最近読んだ日本経済新聞のコラムで、
その説は完全に誰かが作ったガセネタである、と書かれていました。
全然、ドラマチックじゃありませんね。人生何を信じれば良いかわかりません。

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