年末調整の時期となりました。
今回、大きく変わってくる改正点は、次の2つです。
1つは、マイナンバーの導入。
もう1つは、扶養している国外親族等がいる場合の必要添付書類の義務化。
この2つの改正の適用開始は、平成28年1月1日からとなります。
その他、年末調整の手続きは、例年とほぼ変わりがありません。
しかし、年末近づく慌ただしいなか行う作業である点や税制度特有の
分かりにくさもあり、なんとなくの感覚でいる人も多いと思います。
また、個人の税金はケースバイケースで、個別事情が多く、
容易に判断できない場合も少なくありません。
年末調整時期には、税務署等への問合せが多くなります。
国税庁では、年末調整の記載事項に関するチェック表を作成しています。
この時期に多い質問の1つに、103万円に関するものがあります。
2012年に、年末調整に関する取材を日経新聞から受けました。
この103万円に関する説明をしっかりと記事にしてもらいたいとリクエストし、
非常にすっきりと見やすい表を作成してもらった経緯があります。
しかし、いまだご質問が絶えず、誤認識等も散見され、解消されません。
(※日本経済新聞(夕刊)2012年(平成24年)10月30日(火曜日)らいふプラス掲載。)
主な理由としては、103万円の話は、以下の5つの話とよく混同され、
話が余計にややこしくなっていると感じます。
(1)給与収入103万円以下の配偶者控除(国税庁HPより)![]()
(2)給与収入141万円未満の配偶者特別控除(国税庁HPより)![]()
(3)勤務先から支給される配偶者手当
企業の7割程度が、配偶者手当を支給していると言われています。
そして、多くの企業の支給条件は「配偶者の年収が103万円未満」とし、
2014年の平均支給月額は、14,347円(年間17万円超)です。
国家公務員の「配偶者手当」の支給条件は「配偶者の年収が130万円未満」とし、
支給月額は、13,000円(年間156,000円)です。
(4)社会保険の第3号被保険者
20歳以上60歳未満である第2号被保険者の被扶養配偶者の年収が、
130万円未満の場合(※例外あり)は、国民年金保険料の本人負担がありません。
(5)自分自身の所得税又は住民税の課税
給与年収が103万以下であれば、所得税はかかりません。
しかし、住民税は、話が少し複雑で、住民票のある地域、
そして単身か否かで判定する計算方法が異なります。
前年の合計所得金額が、次の計算式以下である場合は、原則、かかりません。
(1)控除対象配偶者または扶養親族がいる場合
・・・・・350,000円(※)×(本人 + 控除対象配偶者+扶養親族)の人数+210,000円
(2)控除対象配偶者および扶養親族がいない場合
・・・350,000円(※)
(※)この350,000円の基準は、地域によって、350,000円、315,000円、280,000円となります。
税法は、一読難解、二読誤解、三読不可解、四読不快、~…と続きますが、
年末調整をなんとか乗り切り、良い年を迎えましょう。
健闘を祈ります。
