コラム

社長のふところに飛び込む極意

六本木や西麻布を中心に、バウンサー(注)をやっていたという人に、以前、話を聞いたことがあります。
(注)バウンサー…クラブなどの入口で、主に入店者のチェックや、酔客などを締め出すことを生業とする者。

その人は空手の有段者で、かなりの腕前らしく、そして饒舌でした。
彼の印象に残っている言葉として、「相手と対峙しただけで、自分より強い相手かどうか、だいたいわかる。」
というものでした。

当時は、「ふ~ん。」と聞き流していましたが、今思うと、
あながち間違っていないかも!?と思えるようになりました。

と言うのも、格闘系ではありませんが、二言・三言話しただけで、博識だなぁ~とか、
慧眼の士だなぁ~、と思わず身震いしてしまうようなすごい人と出くわすことが、稀にあるからです。
渋井正浩さんとお会いした際、そのような印象でした。

渋井正浩さんは、東北大を出たのち、りそな銀行に入行され、
現在、主に金融機関向けの講演や、研修講師などをつとめられています。

そんな正浩さんが、最近、本を出されました。
ファイル

社長のふところに飛び込む極意
~セールスの前に心をつかめ!ワンランク上のアプローチ手法とコミュニケーション術~
版元は、金融の分野を中心に良質なコンテンツを提供している、近代セールス社。

はじめに さあ、社長のふところにとびこもう
第1章 成果を上げる渉外担当者とは
第2章 社長とのコミュニケーションの基本
第3章 新規先へのアプローチ
第4章 既存先との取引深耕
第5章 取引先の商売を知りアドバイスができるようになる

おわりに 社長はあなたを待っている

年末に、正浩さんとお会いする機会がありました。
その時点では、まだ第1章までしか読んでいませんでした。

第1章は、とてもロジスティックに書かれていて、渉外担当の必要スキルが体系的に網羅されている内容でした。
そこまでの感想として、非常に硬い印象で、論理的に骨太に書かれた本なんですね?
と申し上げたところ、「え!?」という顔をされ、「いや~、かなり柔らかく書いたつもりなんだけどなぁ~。」と言われました。

後日、読了してみると、第2章以降は、ご自身の経験をベースに、うまくいった点や、失敗談など、
非常にわかりやすい表現で、語り掛けるような筆致で書かれていました。
本の感想を言う場合は、読了してからにしましょう!

版元や本のタイトルから、主に銀行の渉外担当向けに書かれた印象があろうかと思います。
正浩さんいわく、この本をベースに、行員向けの研修などを行っているそうです。

しかし、営業にたずさわる人であれば、業種にかかわらず、読んで参考になる部分は、多いように感じました。
士業や中小企業の社長とおつきあいのある人にも、お薦めです。

特に第4章は、目から鱗の箇所がありました。
決算書で最初に見るべきポイントは、売上でも利益でもなく、それは○○!というくだりなどは、
私も、「なるほど!」と思わず膝を叩きました。

その第4章は、既存先との関係性について言及しています。
営業は、新規ばかりを大切にし、既存のお客さんを放っておくような状態にしてしまいがちですが、
経験に基づいた、多岐にわたる裏打ちされたエピソード群は、非常に説得力があります。

ちなみに正浩さんの奥さんである、渋井真帆さんは、最近、「ザ・ロスチャイルド」という経済小説で、
第4回城山三郎経済小説大賞を受賞されました。

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