コラム

税務署の組織構造を追え

年末年始に録ためていた海外ドラマ「ブレイキング・バッド」を
先日、全シーズンをやっと観終えました。

シーズン1から5まで、全62話を観た計算になります。
寝る前に数話ずつ観るのが、ここ数日の日課でした。

エンディングを迎えた時は、これで終わってしまうのか?という空虚感と、
ドラマの世界観から抜け切れない、禁断症状のような感覚に襲われました。

そのくらいに、このドラマのストーリー・脚本は完璧で、大いにひきつけられました。
しかも、連続ドラマにありがちな、シリーズごとに視聴率や質を落とすようなことがありませんでした。
そして、歴代で最も高く評価されたテレビシリーズとして、ギネス世界記録に認定されたのも納得です。
日常で、ドラマを観ることが楽しみの一つとなっていたのは、人生初かも知れません

このドラマを特に気に入っている点は、ドラマはドラマではあるけれども、
リアルさがそれなりに追求されているところです。
加えて、ドラマの根底のテーマが、中年の危機にあるところです。
さらには、主人公が死を意識することで、考えや行動が
大胆に転化されていく人間の矛盾にあるように思います。

日本のドラマとは違い、無名な俳優しか使わない製作総指揮の
ヴィンス・キリガンの姿勢にも好感が持てました。

このドラマが最後まで多くの人をひきつけた理由は、いくつも挙げられますが、
特に私が強調したいのは、以下の3つです。
1つ目は、脚本が面白いこと
2つ目は、役者の演技がうまいこと
3つ目は、登場人物のキャラクターが際立っていたこと

特に3つ目に注目です。
全62話という長いストーリーの割に、登場人物が少ないように感じました。
それは主人公を含め、出てくる登場人物が個性的で、
キャラクターが際立っていたからだと言えます。

現に、第2シーズンの8話から登場する、コミックリリーフ的存在の弁護士ソウルグッドマンを
主人公にしたスピンオフドラマ、「ベターコールソウル」が、シーズン2まで決まっています。

以前、シナリオライターの友人が、原稿を書いている時に覗き見をしたことがあります。
その時、ストーリーは書いておらず、登場人物の性格や経歴などをひたすら書いていました。

私は何をやっているのか理解できず、質問をすると、
ヒットするドラマや書籍の多くは、登場人物が共感されているキャラであることが必須で、
だからこそ最初に、登場人物を深く掘り下げておく必要がある、
というようなことを言っていました。

その話を顧問先のドラマの脚本家に話したところ、彼女は、
「素質論」という生年月日に基づいた、占星術?
のような理論で、登場人物のキャラを設定していました。
以前、流行った動物占いの元になった考え方だそうです。

私は占いのような話は無関心であったのですが、素質論の話を
飲みながら聞いた時は、非常に興味がわいたのを覚えています。
これは心理学として使え、営業の人が取り入れていたり、
マーケティングでも活用されている、とのことでした。

素質論は、簡単に言ってしまうと、生年月日から
その人の素質を3つのタイプに分けます。
(1)権威重視型
(2)経済重視型
(3)人間関係重視型

たとえば、1つの商品を売る時、相手がどのタイプかによって、
琴線が異なる相手へのアプローチを変えます。たとえば、
権威重視型の人には、「この商品は有名人の誰々さんが使っていますよ。」
経済重視型の人には、「今なら何%引きでお買い得ですよ。」
人間関係型の人には、「ご友人のすすめで、商品をお持ちしました。」
といった感じです。

その話を外資系生保の友人に話したところ、彼も心理学を学び、
実際、仕事に活かしているとのことでした。

彼は転職前に、上場している某ハウスメーカーの営業をしていたのですが、
営業研修で心理学の講義があり、それを参考にしながら
話を進めていく、という手法を叩き込まれたそうです。

実際、私と初めて会う時、そのメソッドを使ったそうです。
私の印象は、
・時間にうるさく
・論理的な話でないと聞く耳を持たず
・自分が納得しないと動かない
タイプだそうです。

これを聞いてみると、なんだかとても偏屈な頑固親父のような印象で、
私のセルフイメージである「慈愛に満ちた孤高の貴公子」とは程遠く、
聞かなきゃ良かったと、妙にその日は、胸騒ぎのする1日だったことを覚えています。

心理学もほどほどにしたいところです。

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258,1,2015/2/15 17:48,0000-00-00 00:00:00,

課税権者の組織構造は、3層になっています。
国税庁(本庁)

国税局(11局と沖縄国税事務所)

税務署(全国に524税務署)

国税庁は財務省の外局という位置です。
※実行部隊は、約55,000人(12,000+43,000人)

(1)国税庁 約800人

ファイル

(2)国税局 約12,000人

ファイル

(3)税務署 約43,000人
※(例)東京の税務署

ファイル

誤解としてよくあるのが、「マルサ」です。
マルサは、税務署で手におえない大規模案件などを扱う、
国税局査察部’を指します。
よって、「税務署≠マルサ」、「国税局=マルサ」が正解です。

この3層構造のトップは国税庁で、それを束ねるのが、国税庁長官です。
国税庁の下にある国税局は、国税庁の地方支分部局ですが、特に、
大阪国税局は、国税庁長官の言うことをあまり聞かない、
やんちゃな局であるため、国税庁長官と大阪国税局長官と
「長官」が2人いると言われたりしているそうです。
土地柄か、それくらいのタフさがないとやっていけないのかも知れません。

役所組織であるがゆえピラミッド構造であり、非常に厳格な縦社会で構成されています。
よって、税務署を退職して税理士となった税務署OBの愚痴の1つとして、
もう辞めた身なのに、会合などで先輩等と顔をあわせると、
いまだに当時の序列で接しないといけない…、ことがあるそうです。

国税庁、国税局、税務署と3つの組織は、それぞれ採用試験が異なり、
どの窓口から入ったかで、出世ポストが決まります。

(1)総合職試験=財務省から国税庁へ出向している財務省キャリア(省キャリ)
→最終的に、国税庁本庁の課長以上のポストと国税局の主要ポスト

(2)上級職試験=国税庁採用となった国税庁キャリア(庁キャリ)
→最終的に、国税庁の課長ポスト、稀に国税局長

(3)国税専門官試験(大卒)税務職員試験(高卒)=国税局採用となったノンキャリ
→最終的に、税務署長(同期の1~2割)、稀に国税局長

私が実務についた頃、神田税務署の管轄に法人を置くことが、
会社にとってステータスで、神田税務署の法人件数が、
日本で最多、と聞いた記憶があります。

しかし、現在、法人申告件数日本一は、渋谷税務署になります。
渋谷税務署の法人件数は、約53,000社で、そのうち休眠会社は15%程度
(※全国平均は、10%)で、実際に約45,000社が申告しています。

渋谷税務署の法人課税部門は、19部門まであり(※以前は22部門)、
調査官だけでも約100人、職員は全部で500人ほどいるそうです。
税務署が大きくなると、税務署を分けます。たとえば、

江戸川区は、江戸川北税務署と江戸川南税務署
品川区は、品川税務署と荏原税務署
大田区は、大森税務署と雪谷税務署と蒲田税務署
港区は、芝税務署と麻布税務署
新宿区は、四谷税務署と新宿税務署
千代田区は、麹町税務署と神田税務署
中央区は、日本橋税務署と京橋税務署
世田谷区は、世田谷税務署と北沢税務署と玉川税務署
杉並区は、杉並税務署と荻窪税務署
足立区は、足立税務署と西新井税務署
練馬区は、練馬東税務署と練馬西税務署
墨田区は、本所税務署と向島税務署
江東区は、江東東税務署と江東西税務署
文京区は、小石川税務署と本郷税務署
台東区は、東京上野税務署と浅草税務署
(※三重県に上野税務署があるため、東京は東京上野税務署が正式名称。)

渋谷税務署は分かれることなく、渋谷区全域を管轄しています。
主な理由として、渋谷区の法人の多くが渋谷駅周辺にあり、
エリアでうまく分けることができないためだそうです。

法人件数では、渋谷税務署が日本一ですが、
歴史が古く納税額が大きい
麹町税務署
神田税務署
日本橋税務署
京橋税務署
芝税務署
は、5大税務署と呼ばれ、格上と言われています。

以前は、3バシ税務署は、格上と言われていました。
日本橋税務署
京橋税務署
淀橋税務署(現・新宿税務署)

法人件数の多いエリアに会社をつくれば、税務調査に入られにくい
という説がありますが、物理的には、一理あるようです。

しかし、全国の国税局(所)及び税務署をネットワークで結んでいる、
KSK(国税総合管理)というシステムを活用しながら調査を進めているため、
どこにあるかはそれほど重要でないと考えられます。

大事なのは、税務調査に入られて困るような対策ではなく、
いつ税務署の調査があってもいいように、しっかりとした準備をしておくことが肝要です。

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