コラム

年収1000万円の憂鬱

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個人的に関心の強いニュースや今後の税制改正の大まかな流れをまとめました。(予定含む。)

1.復興特別法人税の1年前倒し廃止
2.平成27年から相続税の基礎控除の引下げ
(現行)5000万円+1000万円×法定相続人数→(改正後)3000万円+600万円×法定相続人数
3.平成27年10月1日から消費税10%(予定)
4.給与所得控除の上限の段階的引下げ
(現行)給与等の収入1,500万円超 → 給与所得控除一律245万
(H28)給与等の収入1,200万円超 → 給与所得控除一律230万
(H29)給与等の収入1,000万円超 → 給与所得控除一律220万

5.「2060年度 債務残高は8000兆円余に」(2014/4/28)
6.法人税実効税率、5年程度で20%台 経財相が英で表明(現行約35%)(2014/5/8)
7.「国の借金」2014年3月末時点で、1024兆9568億円(2014/5/10)
8.銀行と信用金庫の貸出残高は、前年同月比2.1%増の476兆5961億円となり、2年6か月連続で増加(2014/5/12)
9.配偶者控除見直し必要、負担増は慎重…政府税調(2014/5/13)

個人への負担増、法人への負担減は、税制改正の最近の傾向であり、
強まることはあっても弱まることは、まずないと言えます。
日本の現状がそうさせているだけでなく、税制そのものが、国際的な流れに、
もう一国だけでは抗えないものになりつつあるからです。

週刊ダイヤモンド 5/3・10号で、「年収1000万円の不幸」という特集を組んでいました。
非常に示唆に富む内容でした。
年収1000万円かどうかが重要なのではなく、積極的に情報を
取りにいく姿勢が必要になってきています。
なぜなら最近は、税制改正だけでなく、影響の決して小さくない、
様々なルール変更が頻繁に行われています。
毎年税制改正があるのは、税理士がボケないようにするためだ、
と笑って揶揄していた牧歌的時代は終わりました。

国税庁が毎年公表する「民間給与実態統計調査結果」(H24)を見ると、次のことが分かります。

平成24年の平均給与408万円(男性502万、女性268万)。
そのうち、ステータスもあり大台と言われる給与等の年収1000万円を超える人は、
全体(4,556万人)のうちの3.8%(172万人)しかいません。
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年収1000万円超は給与所得者全体では圧倒的少数と言えますが、納税額に関しては、
給与所得者全体が納税する税額(7超2,977億円)の44.7%(3兆2,650億円)を占めます。
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誰しも憧れる1つのステージと言われる年収1000万円。
しかし、そう甘い現実ばかりではなく、1000万円のステージでは、
冷徹なスナイパーがその財布を狙っています。
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さらには、四重苦が忍び寄っていると週刊ダイヤモンドでは警鐘を鳴らしています。
年収1000万超の四重苦
1.所得税 → 2017年から給与所得控除が一律220万円
2.児童手当 → 所得制限が年収960万円から
3.高校無償化 → 所得制限が年収925万~930万円から
4.消費税増税

この四重苦は、172万人に影響が出ると言われています。
このうちモロに影響が出るのは、年収1000万円超の片働きであって、
共働きで世帯年収1000万円超には、あまり影響が出ません。

女性の活用、配偶者控除の廃止・縮小が検討されている中、
共働き優遇、片働き苦難は加速する向きが強そうです。

本紙の年収1000万円を稼ぐビジネスマンが、年収500万円の同級生を見て、
同情と優越感を持っていたとしても、自分は専業主婦を抱えていて、
同級生の妻は年収500万円稼いでいたら、実は大変なのは、自分の方だった、
というオチは、正直、笑えませんでした。
(※節税の基本、所得分散効果。)

さらには、奥さんを専業主婦にする方が、
「億ションを購入するより贅沢だ」
という指摘までありました。

人生観は人それぞれであり、年収の多さと幸福感は必ずしも一致しませんが、
税制を含めた取り巻く環境が、ライフスタイルを変化させることはよくあることなので、
今後の構造的変化には注視し続けたいところではあります。

あと、1000万円図鑑と称して、その職業生態を7つの職業カテゴリーに
分けていて、これは面白かったです。
(1)商社・メディアイプ
(2)医師・弁護士タイプ
(3)都心共働き
(4)地方公務員
(5)新興IT系
(6)地方企業経営者
(7)企業役員
(※詳細は、本紙にて。)

年収1000万円超の人は、現状認識として、年収1000万以下の人は、
その生態チェックに、本紙を参考にするのも一考です。
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